【2019年1月】新春特別インタビュー
自治医科大学付属病院麻酔科針灸師 中野 朋儀 先生
仙骨を温めて不調を
解消しましょう!
中野朋儀先生は、短時間で効果的に体を温め、さまざまな不調を解消する治療法を開発されました。そのカギを握るのが仙骨です。
簡単で誰にもできる方法なので、忙しい方には最適ですし、サロンを運営されている方も施術にとり入れてみてはいかがでしょうか。仙骨の概要と働き、そしてその方法をご紹介します。
先生は『仙骨を温めればすべて解決する』という本を出しておられます。まず、仙骨はどこにあり、どのような働きをしていますか?
背骨を腰まで下がっていくと、腰椎にあたります。一方、お尻のでっぱりの骨が尾骨です。仙骨は、腰椎の下、尾骨の上、骨盤の中央にあります。形は逆三角形をしており、大きさは手の平くらいです。
仙骨は上半身を支え、上半身と下半身をつなぐ役割をしています。人間の骨格の要となっているので、全身の骨格に影響を及ぼしており、腰痛などの原因となってしまうのです。仙骨は骨盤を構成する中心になっていますから、仙骨にストレスがかかると、骨盤が包んでいる膀胱や大腸、男性ならば前立腺、女性ならば子宮や卵巣などにも影響します。その結果として、便秘やホルモンバランスの乱れなどを起こしている人は珍しくありません。さらに、仙骨の近くには、腹部大動脈から枝分かれした血管が走っており、これらの血流が悪くなると、便秘や下痢、消化不良、頻尿、生理痛、ED障害、不妊、腰痛、手足の冷えなど、さまざまな不調に襲われます。
そこで、仙骨を温めるわけですね。
そうです。仙骨を温めると、これらの血流がよくなります。よって、お腹のまわりや太ももをはじめとした全身の血流が良好になるわけです。ご存知の通り、血液は酸素や体内で作られた酵素などを全身の各器官に運ぶとともに、二酸化炭素や老廃物を回収して体外へ排出する役割を担っています。細菌やウイルスと戦い、体を守る免疫細胞が移動するのを助けているのも血液です。血流がよくなると、さまざまな不調や病気が改善されます。
先生は鍼灸の専門家です。仙骨の近くに体にいいツボはありますか?
仙骨には左右4つずつのくぼみがあります。 この合計8つのくぼみが八髎穴(ハチリョウケツ)というツボです。仙骨を温めることでこのツボを刺激できますから、骨盤の内側の血行が良くなり、骨盤に囲まれている臓器を温め、その働きを改善します。便秘や下痢、月経不順、生理痛、不妊症、泌尿器系の不調などに効くのはそのためです。その他、仙骨のまわりには、背中や太ももの裏を走る足の太陽膀胱系という経絡があります。経絡とは、特定の臓器と連動する連絡通路が皮膚表面に投影したものです。この経絡は自律神経に大きな影響を与えているので、この経絡が弱ると、自律神経に乱れが生じてしまいます。自律神経といえば、仙骨からは自律神経の副交感神経が出ており、さまざまな点で仙骨を温めることで、自律神経のバランスを整えることができるのです。
レインボーの会員さんは40代以上の女性が中心です。この世代の方々ではいかがでしょうか。
やはり加齢とともに、女性ホルモンのバランスが悪くなってきます。ホルモンの分泌量が低下する更年期には不定愁訴を抱えておられる方も多いことでしょう。現在、100種類以上のホルモンがあるとされており、体を修復したり、血圧を調節したり、体脂肪を保ったりと、わずかな量で体の働きを維持しているのです。そして、このホルモンも血液中に分泌され、血流に沿って目的地へと運ばれます。仙骨を温めることで、これらの不定愁訴も改善されるはずです。自律神経のバランスも整い、夜もぐっすりと眠れるようになるでしょう。
では実際、どのようにして仙骨を温めればいいでしょうか。
もっとも簡単な方法はシャワーです。40℃くらいのお湯を30秒ほどかけます。シャワーならば、適度な水圧も刺激となり、それだけで十分です。仙骨の位置はお尻の少し上あたりで、何も点にあてる必要はありません。手の平くらいの範囲にお湯があたればいいのです。
仙骨は骨ですから、熱伝導がよく、これだけでも体がポカポカと温かくなってきます。大事なのは、温度に変化がないことです。一定の温度で温めましょう。カイロは温度が上昇することもあり、低温ヤケドの危険も伴います。お風呂に入って温めたいのなら、半身浴がいいでしょう。
仙骨を温めるのは1日の中でいつでもかまいません。ただし、日中は活動しいているので、自然と体温が上がっています。やはり、夜、就寝前がもっとも適しているでしょう。快眠を得られるだけでなく、疲労の回復や免疫力の向上、糖や脂肪の代謝などは、すべて就寝中に行なわれているからです。
患者さんがうちへ治療に来られるのは、一般的には週に1回となります。あとは、患者さん自身が自宅で行なうケアが重要です。みなさんも体を、特に仙骨を温めてください。
〈インタビューを終えて〉
インタビューの後、中野先生は国際医療支援のためにネパールへ向かわれました。高い志と使命感をもって日々患者さんと向き合っておられるのです。先生は、仙骨にシャワーをあてる方法を勧められましたが、レインボーにはPDPサーモがあります。半身浴ならPDPハーフドームがいいでしょう。また、骨盤を正しい位置に矯正するなら、PDP骨盤ベルトがお勧めです。
中野朋儀先生プロフィール
1962年千葉県生まれ。自治医科大学附属病院麻酔科鍼灸師。鍼灸師として25年のキャリアを持ち、関東地区で診療に関わる。他の治療施設で改善が見られなかった患者を治療し、数々の心身の不調を改善に導いている。自治医科大学附属病院麻酔科鍼灸外来(栃木県しもつけ市)、陽だまり”はりきゅう”治療室(千葉県千葉市)、新宿区内治療院(東京都新宿区)。