【2017年5月】特別インタビュー
飯塚 啓介 先生
「免疫」と「温活」の
大切さを聞く
これまでのがん治療には、手術療法と放射線療法、それに抗がん剤を用いた化学療法の3つがありました。最近ではこれに加えて、人間が本来もっている免疫力を高める免疫療法が注目されており、実際効果をあげています。その免疫力を重視した治療を実践されている飯塚啓介先生(Aiクリニック院長)にお話をうかがいました。
そもそもがんはどうして起こるのですか?
ステップセオリーという考え方があります。以前は、検査をしたとき「ポリープです。がんではなくてよかった」と言っていましたが、現在は、たとえポリープでも遺伝子の異常が加わるとがんになると考えるようになりました。つまり、良性と悪性は異なるものではなく、良性のものでも場合によってはがんに移行する可能性があります。
そのきっかけとなるのが炎症です。炎症が起こると、それを防ごうとして免疫細胞である白血球が働きます。その際に活性酸素が発生し、遺伝子に突然変異が起こる危険性が高まり、遺伝子に異常が起こると細胞ががん化するのです。
遺伝子が突然変異を起こす要因として、紫外線や偏食、喫煙などがありますが、中でも、ストレスに注意しなければなりません。ストレスがかかると副腎皮質ホルモンが分泌され、それとともに活性酸素も発生します。胃がんを例にすると、ピロリ菌が原因として注目されていますが、ピロリ菌だけではなく、何らかの原因で胃が刺激を受けて、それにより慢性の炎症が起これば、がんになる危険性は高まるのです。
がんは早期発見、早期治療が重視されていますが、がん検診は受けたほうがいいですか?
うちのクリニックでは遺伝子検査を行なっています。がん関連遺伝子の突然変異の度合いをみて、将来どのようながんになりやすいのかのリスク評価をしています。リスクの高い人には予防治療をしています。
がんになった場合も、遺伝子の型によって最適の薬が異なることがよくあります。PETやCTなどの検査で、がんが影として映るのは5ミリが限界です。5ミリといえば、約100億個のがん細胞があり、決して最近できたものではありません。発生して5年や10年は経過しており、とても早期発見とはいえないのです。これまでは、がんの遺伝子検査といえば、直接がん組織を採取しなければならず、例えば、肺がんの場合、肺まで管を通すとても辛い検査でした。近い将来、リキッドバイオキシーといって、血液や尿からがんのRNAを直接検出できるようになります。将来は、手軽にがんの早期発見が可能となるでしょう。
がん治療の現状はいかがでしょうか?
手術療法と放射線療法、化学療法に加えて、第4の治療法として免疫療法が脚光を浴びており、今後はこれにウエイトが置かれていくでしょう。私たちにできることは、人間が本来もっている免疫力を活性化させることです。私たちの体の中では、毎日3,000〜5,000個の異常細胞が生まれていますが、すぐにがんにならないのは免疫力が備わっているからです。
白血球の中のリンパ球の数が多いこと、がん細胞を攻撃するNK細胞のファンクション(機能)が十分であること、がんを攻撃するT細胞が十分にあることなどを免疫力が活性している状態といいます。患者さんのリンパ球とがん細胞を培養して、どれくらいの割合でがん細胞を死滅させられるかを調べる検査がありますが、がん患者さんは10%くらいに低下することも珍しくありません。元気な人なら30~40%ありますので、がんを防ぐ免疫力がどれくらい備わっているかを知る大きな指標になります。
先生はバイオブラン(RBX)を患者さんに勧められていますが、その理由をお聞かせください。
これまで健康食品はいろいろと試してきました。キノコ類に含まれるβグルカンはそこそこよかったです。プロポリスには殺菌作用があるようですが、がんには効果はありません。もっともよいとされるのはブラジル産ですが、生産量をはるかに超える量の製品が出まわっていました。いかにいかがわしいものが多いかということでしょう。フコイダンも免疫を高める効果があります。
バイオブランは、自分なりにはっきりしたデータがとれました。大和薬品さんはまじめな会社で、製造過程がしっかりしていますし、効果も予測できます。免疫は多くの病気にかかわっていますから、それらの予防という点でバイオブランを飲むといいのではないでしょうか。
先生は、免疫力を高めるために、体温を上げることも大事だと主張されています。
体温が35℃台ではリンパ球はうまく働きません。体を温めて、体温を高めたほうがリンパ球は活性化され、免疫力は高まります。ストレスがかかると、末梢血管が収縮し、体温も下がってしまいますから、体温を維持するためにもストレスがかからないような生活を心がけて、もしストレスを抱えた場合は解消する必要があるでしょう。
最後に、免疫に関するアドバイスをいただけますでしょうか。
がんの治療をする際も、患者さんの免疫力が治療をサポートします。免疫力が高いと、抗がん剤の副作用が軽減されることも少なくありません。普段から免疫力を高めておくことが必要ですが、免疫は特別なものではありません。あまり免疫を意識せずに、バランスのとれた食生活や適度な運動など、日々の生活習慣に気をつけて生活することが大切です。
飯塚啓介先生プロフィール
1949年、島根県生まれ。 医学博士。 Aiクリニック院長。 東京大学医学部卒業後、 東京女子医大講師、 防衛医大助教授、 日本赤十字社医療センター部長などを歴任。 遺伝子検査と遺伝子治療を専門としている。