日本一の菌のスペシャリストが語る「nF1の高い免疫活性」
【2018年7月】特別インタビュー
今野 宏 氏
最高の乳酸菌を
最高の環境で育てる
「チョベリグ」の発売にあたってはさまざまなすばらしい出会いがありました。前号ではそのおひとりであり、共同開発者の金炫雄(キム・ヒョヌン)氏(株式会社バイオジェニックス総研CEO)をご紹介しました。
nF1がいかに優れた菌であっても、育て方を誤れば、品質の高い「チョベリグプレミアム」はできません。
今号では、種菌の生産、保管のスペシャリスト・今野宏氏(株式会社秋田今野商店代表取締役社長)にお話しをお聞きします。
菌を生産する「もやし屋」
秋田今野商店さんの主な業務を教えてください。
私たちのような会社のことを「もやし屋」といいます。もやしといっても野菜の豆もやしを作ったり売ったりしているわけではありません。 植物の新芽が出る様子を「萌える」といいます。新芽を「萌やす」から「もやし屋」なのですが、「萌やす」ものが違うのです。主に麹菌や乳酸菌などの微生物の種菌を作っています。
例えば、日本酒の主な原料は米です。ただし、それだけでは日本酒は作れません。まず、米を蒸し、それに麹菌の胞子をふりかけて麹にします。それに水と酵母菌を加えて発酵させたものが日本酒です。
私たちの会社は、種麹や酵母菌、最近では、乳酸菌などの生産と管理、販売も行なっています。
「もやし屋」さんは日本にどのくらいありますか?
十数社あるといわれていますが、大手に限ると4社です。おかげさまで、東日本において生産されている日本酒の約70パーセントのシェアを持っています。
また、我々の培養技術は評価され、理化学研究所(日本における最高の研究機関のひとつ)からの機能性微生物の培養・抽出依頼も受けてきました。これらは研究用の試薬や抗生物質として使われています。
伝統と最先端科学の融合
いわば日本のリーディングカンパニーですね。その理由は何だと思われますか?
和食はユネスコの無形文化遺産として登録されました。 和食には、味噌や醤油、みりん、かつお節など、発酵食品がたくさんあります。これらに共通して使われているのが麹菌です。
発酵食品の製造には、きわめて高度な知識と経験が必要でした。製造方法は世代から世代へ長い時をかけて伝承されてきました。
明治になり近代科学が外国から入ってきて発酵を生化学、微生物という科学の目で対処するようになったのです。
うちの会社は創立108年になります。伝統や実績に最先端科学を取り入れてお客様のニーズに応えているところが評価されているのかもしれません。本社はきれいな湧き水と自然に恵まれた秋田県大仙市にあり、最新鋭の設備を完備したバイオインキュベーションセンターを擁しています。
「氏も育ちも」重要
それほど技術力の差が左右する分野なのですね。
麹菌の大きさは約5ミクロンです。1グラムで約100億個になります。育てる際に、工程の一部を変えるだけでもまったく性質の異なるものができあがりますし、膨大な数の種類がありますから、組み合わせを考えれば無限になるわけです。伝統と科学に裏づけされた技術力が重要であることはいうまでもありません。
私たちのもとへは全国の日本酒メーカーや味噌メーカーなどの多くの醸造会社から麹に関する相談が寄せられます。送られてくる麹の中には良い麹もあれば、悪い麹もあり、同じ麹菌を使っていても、育て方によって麹の出来は千差万別。出来上がりの味は大きく異なってしまうのです。昔と比べれば、味の好みも変わっていますから、それに合わせる革新力が求められますし、一方、前と同じ味が好きな方もいますから、その場合は再現性が重視されます。麹菌は生き物ですから、コピーは決して簡単ではありません。
「氏より育ち」といいますが、いくら良い麹菌でも育て方を誤れば台無しになります。「氏も育ちも」大事なのです。
免疫活性の高さは薬レベル
長年、麹菌を作ってこられた秋田今野商店さんですが、これまでカスピ海ヨーグルト菌やマリアミ菌などの乳酸菌も扱っておられますが、「チョベリグ」の原料であるnF1の印象はいかがですか?
例えば、日本人や韓国人の場合、乳がんの患者数は欧米人ほど多くはありません。疫学調査からもわかる通り、食べ物が体を作っているわけですから、世界5大健康食品に選ばれているキムチや大豆を食べていることが好影響を及ぼしているのでしょう。
菌には丸い球菌と棒状や円筒形の桿菌があります。一般的にキムチは桿菌ですが、nF1は球菌に近い短桿菌です。菌を育てるときにあえて菌にストレスを与えることがあります。キムチは辛い食品ですから、もともとストレスがかかって素晴らしい菌に変化していったのかもしれません。
豚も猪も祖先は同じです。猪を家畜化したのが豚ですから、これに例えれば、nF1は猪に近い、つまり野性的な菌といえます。
健康面での作用はいかがでしょうか?
すでに免疫活性を調べましたが、とても高いことが判明しています。
不活性化された死菌が有効であるとわかったことで、すべての食品に使うことが可能になりました。菌が生きていると、味が酸っぱくなったりするからです。しかも、生菌は1ミリリットルに10の7乗個ほどの数ですが、死菌ならば10の10乗個もの数を配合することができます。
マウスの実験の段階では、抗がん剤と同じくらいの免疫活性を示しているとの報告も受けています。
人間の体の細胞が生まれ変わる(新陳代謝)には3ヵ月以上かかるので、少なくとも3ヵ月は試していただきたいと思います。
今野宏 氏プロフィール
東京農業大学卒。国税庁の醸造試験所を経て、ノーベル賞を受賞した微生物学者を多数輩出しているオランダのデルフト工科大学へ留学。平成15年より、祖父、父の後を継いで株式会社秋田今野商店代表取締役社長に就任。秋田大学院の非常勤講師もつとめる。